任意売却業社の選び方

名古屋住宅ローン相談室代表

任意売却の必要を感じて インターネットで調べてみると、 たくさんの不動産業者が見つかると思います。

ぱっと見ただけでは違いがわからず、 同じような内容が書いてあったり まったく別の内容が主張してあったりすることから、 不安を大きくしてしまう方が少なくありません。

手前みそですが、 私のところにお越しくださり お話をさせていただけた方は、みなさん、
「よくわかった」
とおっしゃいます。
「これからどうなるかがよくわかった」と。
インターネットで膨らむ不安の原因は、
“何をしたらいいのか”
“これからどうなるのか”
がわからなくなることですよね。

住宅ローン問題の解決は複雑ですが、 専門家とご相談者さまがタッグを組んで、 順序立てて進めたら道は開けます。
任意売却の担当には、 経験と覚悟のある会社を選んでください。

このページでは、任意売却業者選び方についていくつかのポイントをご紹介します。
事務所がない、宅建業の資格を持っていない、など論外なポイントは外して、一般的な不動産屋さんに依頼をする場合に確認した方がいいのではないか?と思う点をまとめました。
契約する前と後、それぞれのポイントを記載していますが、契約してしまってから不動産会社を変更するのは、やはりそれなりに大変です。
契約する前によくよくご検討ください。
特に任意売却を視野に動かれているご相談者さまには競売というリミットまで残された時間が限られています。
一般的に不動産会社との契約は3ヶ月の期限で交わされることが多いため、一度契約をした後で(やっぱりここの不動産会社さんは信用できない)と思っても、3ヶ月経ったら状況は大きく変わってしまっています。

任意売却に関していえば、どこの不動産会社さんでも同じではありません。
任意売却の実績、担当者の仕事に対する姿勢を確認して、納得してから契約を結んでください。

任意売却業者の選び方(契約前):担当者との相談方法・タイミングについて

任意売却業社の選び方1

最近は、最初の相談相手と実際業務を行う担当者が異なる不動産会社もあります。

みなさん(任意売却について相談がしたいな)と考えられた際、知り合いの不動産会社がいなければまずはネットで検索して良さそうだと感じたところに電話相談をしたり、面談予約を入れて面談したりするかと思います。
それで最初に詳しく相談をした相手が最後まで担当してくれたらいいのですが、不動産会社によってはその最初の深いコンタクトを外部のオペレーターさんに依頼されている場合があります。

不動産会社が電話相談を外部に依頼される理由にはいろいろあるかと思いますが、下記のような例をよく耳にします。

    不動産会社が電話相談を外部のオペレーターに依頼する理由・例

  • 営業担当のコミュニケーションスキルに心配がある
  • 一見大きな組織のように見えても実は会員ビジネスで成り立っており、問い合わせされたご相談者様を会員の不動産会社さんへ紹介するシステムになっている

一概に上記の体制が悪いとはもちろん言えません。
ただご相談者様にとっては、
最初に気持ちを込めて相談した内容を、業務を行う担当者にもう一度しなくてはいけなかったり、
最初の印象で(いいな)と思った相手が担当をしてくれなくて実際の担当は少し相性の合わなそうな人だったり、
といったリスクがあります。
特に任意売却を検討されている場合は、一般的な不動産売却よりも担当者とご相談社様との信頼関係が求められます。

私が推奨しているのは、初めの電話面接や面談設定の際に、
「あなたが最後まで担当してくれるのですか?」
「面談する方が最後まで私の担当をしてくれる方ですか?」

と質問することです。
そうであるならば、話してみて、あるいは会ってみて、その不動産業者が信頼できるかどうか、依頼しても大丈夫かどうかをご自身で確かめたらいいかと思います。

任意売却業者の選び方(契約前):担当者との相談方法・タイミングについて>【補足】任意売却の担当者について

任意売却も一般の売却のようにご依頼された不動産業者が買主さんを見つけてきて売買が成立する必要があります。
買主さんが見つからなければ、任意売却は成功しません。
しかも任意売却の場合には、競売というリミットまでの時間が限られているという制約もあります。
※売主さんであるご相談者様がすでに買主さんの調整をできている場合は別です。

となると、担当者には不動産営業としての対人スキルが必要になるわけです。
任意売却のために不動産業者を探される場合には、担当となる人が営業として買主さんからの信頼を得ることができるかどうかという視点でも検討してください。
任意売却のご相談を承る際にいっぺん通りではいかず相手を慮りながら臨機応変にご対応するコミュニケーション能力が求められますが、これは、買主さんを相手にする際でも求められる能力です。
買主さんを見つけてきて契約まで結びつける安心感・力強さを担当者が持っていない場合には、ご相談者様の任意物件を売却することが難しくなります。
最初のコンタクトについて

任意売却業者の選び方(契約前):士業のネットワーク

任意売却業社の選び方2

任意売却には、不動産鑑定士や司法書士はもちろん、離婚、事業再生、破産などそれぞれの案件に詳しい士業の方との連携が求められることが少なくありません。
ご相談者様ご自身が既にご依頼されている場合は別ですが、任意売却業者から弁護士等の専門家を紹介してもらうとその後の進行がスムーズなため、任意売却を依頼する不動産会社が地元で活動する士業の方々とネットワークを持っているかどうかは、任意売却業者の選び方の重要なポイントのひとつになるのです。

任意売却を依頼した不動産会社から士業の先生を紹介してもらうメリットは2つあると考えています。

任意売却業社から士業の先生を紹介してもらうメリット

  • 1つは状況をあらかじめ伝えておいてもらえること。
    ご相談者様の状況や想いを、あらかじめ任意売却業者の方から弁護士さん等に伝えておくため、スムーズに相談を進めることができます。
  • 2つ目は、任意売却業者が信頼している士業の先生を紹介してもらえること。
    多くの場合、任意売却業者は、(この先生はしっかり仕事をしてくれる。信頼できる)と感じる士業の先生とネットワークを築いているかと思います。

お知り合い等がいる場合でなければ、数ある士業の事務所からどこに依頼したらいいのか、また、ご自身の状況をどこから説明したらいいのかは判断がつきにくいものかと思いますので、信頼できる事務所の紹介を受け、ご事情をあらかじめ伝えておいてもらうことは、大きなメリットと言えるのではないでしょうか。

もうひとつ大事なこととして、ご相談者様が物理的に通える範囲の事務所を紹介してもらうことです。
あまりに遠いエリアで事務所を構えている方を紹介されたら後々困ってしまうと思いますから、ご相談者様がご自身で足を運べるエリアで該当案件に詳しい士業の方とネットワークが築けているかどうかを大切にしてください。

任意売却業者の選び方(契約前):士業のネットワーク> 【補足】士業の先生方にも専門分野とそうでない分野があります

日本ではあまり浸透していない考え方かもしれませんが、弁護士資格を持っている先生方にも専門分野とそうでない分野があります。
離婚に詳しい弁護士の先生、自己破産に詳しい弁護士の先生、事業再生に長けている弁護士の先生、などです。
もちろん他の士業の先生方についても同じです。
ご自身で士業の先生を探される場合には、最低限ホームページを確認し、相談したい内容についてその事務所が取り扱っているかどうかをすり合わせてください。
それぞれの士業の先生の得意分野、慣れている分野以外の業務を依頼することには、ご相談者様にとって、必要以上に労力や時間をかけなくてはならない可能性が伴うため、注意してください。

任意売却業者の選び方(契約前):任意売却の経験値

任意売却業社の選び方3

任意売却を扱う不動産会社でも、全体の業務の中で任意売却業務をどのくらいの割合行っているかは異なります。
任意売却業務を『やったことがある』という場合でも、任意売却を扱う不動産会社となりますが、経験値が多いほど、安心できるのではないかなと思います。
任意売却が成功する確率が高まることももちろんですが、任意売却を避けた方がいい場合の解決手法の引き出しや、ご相談者様の状況全体を整理して生活を立て直す手法のノウハウも、経験値が高いほど豊富に持っているからです。

ただ、注意が必要なのは、100%専業で任意売却を取り扱っている不動産会社が1番安心できるのか、というとそれはまた少し違うのではないかという点です。
任意売却をした後は、引っ越しをしなくてはいけません。
その時に、賃貸業務は全くやっていませんと言われてしまったらご相談者様が困ってしまうからです。
地元で一般の不動産業務を扱いながら、任意売却の経験値が高い不動産会社をお勧めします。

任意売却業者の選び方(契約後):業務報告について

任意売却業社の選び方4

これは、依頼した不動産会社がきちんと仕事に向き合い、法令に則って業務を行う、信頼できる相手かどうかという視点の話です。
ご相談者様と不動産会社とでは、媒介契約を結びます。
一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約、と、3種類の契約方法があり、任意売却では特に一般媒介契約以外の契約方法を推奨していますので、専任媒介契約・専属専任媒介契約の場合でご説明します。
"専任"とつく媒介契約を結んだ場合、不動産会社には、ご相談者様に一定期間に1回以上、メールや書面で業務報告をしなくてはならないという決まりがあります。
これが守られない不動産会社の場合は、担当者としっかり話し合いをしながら進め方を検討してください。
※一般媒介契約では業務報告の義務はありません。

任意売却業者の選び方(契約後):業務報告について> 【補足】一般媒介契約について

"専任"とつく媒介契約と違い、一般媒介契約は同時に複数の不動産会社へ依頼することができます。
『同時に複数へ依頼しより高く売ってきた不動産会社と取引できるなら、その方がいい』と考えられる方もいらっしゃるかもしれませんが(一般媒介契約を推奨する本も出版されています)、一般媒介契約では、売主に対して定期報告をする義務がなく、積極的に動く義務もほとんどありません。
どちらを選ばれるかはもちろんご相談者様の自由選択ですが、依頼する不動産会社とどういう関係性で進めていきたいのか、事前にご検討いただいた方がいいかと思います。

任意売却業者の選び方(契約後):売物件のレインズ掲載状況

任意売却業社の選び方5

レインズへの掲載も、専任、とつく媒介契約の場合のみ義務になっていますが、現状としては、不動産会社同士が競うことになる一般媒介契約の場合も高い割合で掲載されています。
ここで問題にしているのは、専任、とつく媒介契約を結んだにも関わらずレインズに載せない不動産会社も一定数存在することについてです。
レインズに載せない不動産会社の行動には、自社で買主を見つけた方が仲介手数料が多く入るため、売り物件を公開したくない、といった思惑があるケースが多いのですが、もちろんこれは、ご相談者様(売主)にとっては高く・早く売れる機会を損失することにつながりますため、不誠実な行為です。

レインズに掲載すると登録証明書が発行されるので、契約した不動産会社からこの登録証明書を見せてもらっていない場合は、
「登録証明書を見せてください」
と依頼した方がいいかと思います。

任意売却業者の選び方(契約後):売物件のレインズ掲載状況> 【補足】レインズとは

レインズとは、不動産会社全てが登録していて、不動産会社だけが見ることができる、不動産情報のネットワークです。
不動産会社は自分のエリアの不動産情報を全て閲覧できるので、レインズを通して、売物件の情報、成約の状況、賃貸物件の情報を知ることが可能になります。
インターネットが発達していない時代には、不動産会社はファックスで情報をやり取りしていたためあまり情報が行き渡らない実情がありましたが、現在ではレインズのネットワークを通じて不動産情報は広く早く広まります。
レインズは、売却や購入の公正化・スピード化につながるシステムです。

任意売却業者の選び方(契約後):宣伝活動の状況

任意売却業社の選び方6

レアケースを除き、任意売却の場合も一般の不動産売却と同じように宣伝活動をします。
早く・高く売ろうと思ったら、宣伝活動はとても重要です。
ただ、不動産会社の中には何かしらの思惑から、ご相談者様の物件の宣伝活動に問題がある場合があります。
問題には2パターンあります。

    宣伝活動に問題があるケースとは

  • どのサイトを見ても物件が載っていないケース
  • どのサイトを見ても依頼した不動産会社だけしか広告宣伝活動をしていないケース

買主の方がインターネットを通して物件を見つける時代に、インターネット上で売物件が探せない、または、1社だけしか宣伝活動をしていない、というのは異常な事態ですから、このような場合にはすぐに担当者と話をし、状況を確認してください。

名古屋住宅ローン相談室代表

任意売却をしようと考えた際に、不動産会社を選ぶ基準についてまとめました。

選び方・選ぶ基準には個々人で違いもあるかと思いますので、目安としてご参照いただけたらと思います。