「連帯債務者」「連帯保証人」
トラブルを回避するためのポイント

連帯債務者・連帯保証人、トラブル対策

不動産の売買では連帯債務者連帯保証人という単語がよくきかれます。
ローン返済が滞ったときや物件を任意売却する際、連帯債務者や連帯保証人にに関わる予期せぬトラブルが起こることが少なくありません。

このページでは、連帯債務や連帯保証について、トラブルになる可能性のある注意点をまとめます。
任意売却をする背景、また、連帯債務者や連帯保証人に絡むトラブルが起こるときの理由はそれぞれですが、誤解や勘違い・見落としの事例を知っておくことで、さまざまなケースにおいて事前の対策が可能になりかと思います。

これから物件を購入する方、物件の任意売却を検討している方、また、現在進行形で任意売却を進めている方、連帯債務者・連帯保証人になることを考えている方はご参考ください。

連帯債務者や連帯保証人として契約書に名前を書くことは、後々までつづく大きな責任を背負うことになります。

名古屋住宅ローン相談室代表

連帯債務者や連帯保証人になっている物件の売却・ローン返済滞納時には、自分にも影響があることだと注意して慎重に対応してください。

連帯債務者・連帯保証人に絡んだトラブル対策

連帯債務者・連帯保証人になったとき、連帯債務者・連帯保証人になることを依頼したときにトラブルとなりやすい誤解や勘違い・見落としのポイントについて

  • 連帯債務者として共有不動産を所有し、売却後残債が残った時の責任割合
  • 住宅ローンの連帯債務者になり居住しなくなった後の責任お所在
  • 連帯保証人になっていた物件を相続放棄してしまったときの考え方

という3つの状況を例にご紹介します。

point1

連帯債務者は、任意売却後の残債全額に支払い責任があります

共有不動産の任意売却
残債は共有持分だけ払えばいいわけではありません

連帯債務者・連帯保証人、共有持分

共有で所有し、それぞれが連帯債務者となっている不動産について、任意売却して残った負債を誰がいくら払わなくていけないか、という内容です。

誤って解釈している場合が少なくないので、正しい情報を押さえていただけたらと思います。

例えば、旦那様と奥様で1/2ずつ所有している住宅について、住宅ローンの残債が2000万円、売れる金額が1800万円だとします。
諸経費は一旦おいておくと、残債は200万円。
この残債について、誰がいくら払う必要があるかというと、旦那様と奥様それぞれが200万円払う必要があります。

誤解されがちなのは、不動産の持分が1/2であることから、残債の負担義務も1/2の100万円ずつだという考え方です。そうではありません。

連帯債務者は、残っている住宅ローンの2000万円全てに対してそれぞれが責任を負うことになります。
そのため、1800万円で売却できたとすると、残債200万円全てに対してもそれぞれが責任を持たなくてはいけないのです。

仮に、旦那様か奥様のどちらかが100万円を支払ったとしても、「これで自分はもう関係ない」というわけにはいきません。
連帯債務者全員で200万円、 もしくは、連帯債務者のうち誰かが200万円払い切るまでは、金融機関からの督促は双方に対して続きます。

任意売却をして残債が残った場合、共有で所有している不動産についても、連帯債務者となっているならば残債を払い切るまで支払い義務はなくなりません。
持分割合のみ残債を支払えば問題ないと誤解されやすいため、注意してください。

point2

連帯債務者は物件に住んでいなくても責任を負います

離婚後引っ越していても、連帯債務者である限り請求書が届く可能性があります

連帯債務者・連帯保証人、支払い義務

離婚に伴う住宅ローンの問題は多数あります。
住宅ローンを組む際にはご夫婦やその親御さんが連帯保証人や連帯債務者となることも多いかと思いますが、離婚して家計や住む場所が異なるようになると、契約時の連帯債務者や連帯保証人という権利関係がトラブルの原因となります。

例えば、物件購入時に旦那様と奥様の共同名義でそれぞれが連帯債務者となって住宅ローンを組んだとします。
そして離婚をすることになったとき、どちらか一方が住宅ローンを支払いながら住み続けるという約束をしたとします。
その場合、このままもう1人の方が離れてしまうことに、大きなリスクが発生します。
物件に住み住宅ローンを支払っていた側の方がいなくなってしまった場合には、いきなりもう1人の連帯債務者の方へ請求書が届くからです。

(自分は住んではいない) (もう離婚した)という主張は、金融機関には通用しません。
住宅ローンを完済するまで払い続ける、もしくは売却等の対処をする必要があります。

最近では、後々のトラブルを避けるため、離婚時に権利関係を整理する、もしくは、物件を手放して解消解消する、というする、というご家庭が増えています。
権利関係の整理では、連帯債務者や連帯保証人者という権利関係は簡単には解消できないという難しさがあります。連帯債務者や連帯保証人の経済力も考慮した上で住宅ローンの借り入れができているため、離婚や引っ越しを理由に、連帯債務者や連帯保証人から外れる事は許されないのです。
(引越しについては、引っ越すから連帯債務者を外れるどころか、逆に、居住していないならば住宅ローンではなく金利の高いその他のローンに借り換えをしなくてはいけないというのが本当のところです。)
こうした連帯保証人や連帯債務者という権利関係の解消については、こうした難しさもあるため、特にオーバーローンの場合には任意売却を選択するケースが増えています。

参考ページ:>>離婚と住宅ローン問題

住宅ローンを組む際に連帯債務者となっている場合、離婚して住所が変わっていても、支払い義務はなくなりません。
もう1人の連帯債務者が支払い続けることを約束に物件を残す場合には、どのようなリスクを背負うことになるのかをよく理解して検討してください。

point3

相続放棄をしても連帯保証人であることは変わりません

連帯保証人の立場では売却できないため、
相続放棄をすると連帯保証人になっている物件を売却することができなくなります

連帯債務者・連帯保証人、所有者

少しややこしいのですが、相続放棄と連帯保証人との関係は別物です。
旦那さんが亡くなり、負債の多さから相続放棄をしたものの、後日、ご自宅の住宅ローンの支払いについて請求書が届いてご相談くださったケースがあります。

ご自身が住宅ローンの連帯保証人になっていたことをすっかり忘れて、その他の負債だけを見て全ての相続を放棄してしまったとのこと。任意売却ができないか、とのご相談をいただきました。
残念ながら、相続を放棄してしまった以上、連帯保証人の立場からでは売却はできません。

なんとかして任意売却を実行しようとするならば、裁判所を通して遺産管理人という立場の方を選任して話し合いをするという可能性もありますが、必ずしも任意売却ができるわけではありませんし、また、諸々に手数料や諸費量が発生してしまいます。
トータルで見た場合に競売と任意売却どちらの方が支出が少ないのかをよく勘案する必要があります。

先ほど、離婚の際に権利関係の整理をすることが後々のトラブルを少なくすることと同様の意味合いから、相続についても、慎重に判断をすることが重要です。
亡くなったご遺族のプラスの遺産とマイナスの遺産がどれだけあるのか、また、連帯保証人・連帯債務者、共同名義人など、ご自身の関係がどのように位置付けられているのかを全て把握して、その上で、どうすることが最適なのかを判断しなくてはいけません。
ただ、プラスとマイナスの遺産の把握、さらに、連帯債務者・連帯保証人・共同名義などの権利関係までを全て把握する事は個人ではなかなか難しいかと思いますので、不安を感じたら必ず専門家に依頼をされることをお勧めしています。

補足:
連帯債務者と連帯保証人の違いとは?

連帯債務者と連帯保証人の違いについては度々質問をいただきます。保証の範囲が異なるため、下記に概要をまとめます。

連帯保証人

連帯保証人とは、名前の通り、本人の保証をする人のことです。 保証とは借り入れをする本人が借り入れの返済をしない時に、その返済をする責任を負う、ということです。 連帯保証人とは、借り入れをする本人と保証人とが連帯して債務を負う場合の立場です。

連帯債務者

連帯債務者とは、お金を貸している債権者に対してお金を借りている本人と同一内容の借り入れを一緒に返済する人のことです。連帯債務者は複数人いる場合もありますが、それぞれが独立して返済する義務を負います。連帯債務者のうち誰かが債務を完了すると、他の連帯債務者の債務も完了します。

連帯保証人の場合は、債権者は借り入れをしている本人の返済が滞った時点から連帯保証人への請求を開始するという、本人の次の段階の請求ですが、連帯債務者は違います。 連帯債務者になると、お金を貸している債権者から、どのタイミングでも、また、どの割合でも返済を要求されます。たとえ連帯債務者が2人いたとしても、債権者から全額の支払いを求められることがあるということです。

連帯保証人と連帯債務者について

住宅ローンでは、度々、連帯保証人や連帯債務者という単語が聞かれますが、基本的に住宅ローン契約自体には保証人は不要です。ただ、下の①〜③の場合には連帯保証人が必要になります。ペアローンの場合には、契約方法に良あっては連帯債務者となります。
①ペアローンの場合(夫婦、親子)
②共有名義の場合
③親名義の土地に建物を建てる場合

連帯保証人と連帯債務者に関係する注意ポイント、また、連帯保証人と連帯債務者に関する概要をご紹介しました。
連帯保証人・連帯債務者が絡んだトラブル内容は多岐に渡ります。ご紹介パターンはほんの一例です。もしも今、悩んでいたり不安を感じている場合には具体的な内容を教えてください。

連帯債務者や連帯保証人は、 それぞれ、後々まで責任を伴う立場になります。
連帯保証人や連帯債務者になるよう依頼された時、また、契約書に署名をする時には、どのような責任を背負うことになるのかをご自身で理解してから判断するようにしてください。