住宅ローンのリスケジュールとは
数十年に渡る住宅ローンの返済では、
その途中で、さまざまな出来事が起こります。
突然会社が倒産して失業した
病気になって収入が減った
会社の業績が悪化して予定通り昇級しない
etc…
住宅ローンを組んだ当初は想像もしていなかった状況になり、一時的に返済が難しくなるのは珍しいことではありません。
住宅ローンの返済負担を一時的に減らすことができる方法が、住宅ローンのリスケジュールです。
このページでは、銀行と相談して月々の返済額を一時的に減額することができる住宅ローンのリスケジュールについてご説明します。
住宅ローンのリスケジュールとは
住宅ローンのリスケジュールとは、銀行と相談し、一時的に月々の支払額を減額してもらうことです。
減額の内容としては、契約年数を延長する、月々の元金支払額を減額する、という方法があります。
住宅ローンリスケジュールの2つの方法
・返済期間の延長
・一時的な返済猶予
数十年におよぶ住宅ローン返済期間の中で、
「病気をしてしばらく休養が必要になった」
「失業して再就職するまで収入が減った」
という場合に銀行がとってくれる救済措置が住宅ローンのリスケジュールです。
重複しますが、リスケジュールは、銀行と相談して、一時的に毎月の返済額を減額する方法です。
勘違いされる方もいらっしゃいますが、銀行と相談の上進める方法である住宅ローンのリスケジュールはブラックリストに載る行為ではありません。
ブラックリストに載る行為は『延滞』『期限の利益の喪失』『代位弁済』『債権譲渡(移管)』『債務整理(個人再生・自己破産)』といった金融事故です。
住宅ローンのリスケジュールで月々の支払いを金利だけにすることも可能な場合があります
月々の支払額について、金利だけを支払うことが認められるケースもあります(最大1年間)。
金利だけとは、例えばローンが1,000万円残っていて金利が2%の場合、月々の支払額が16,666円ということです(1,000万円×2%÷12ヶ月=16,666円)。
住宅ローンのリスケジュールは返済期間の延長が有効な場合もあります
住宅ローンの返済期間は最長35年が一般的です。
当初の返済期間を35年よりも短く設定している場合には、返済期間を延長することで月々の返済額を減らすことも可能です。
※住宅ローン完済時の年齢によっては返済期間の延長が認められないこともあります。
住宅ローンのリスケジュールができる条件
住宅ローンのリスケジュールを適応するためには一定以上の条件があります。
返済猶予後の見通しが納得できるかどうかが肝になるわけですが、例えば以下の条件を満たす場合には住宅ローンのリスケジュールができる可能性があります。
- ・一定期間を乗り越えたら安定した収入が見込める(これまでの信用がある)
- ・資金不足が一時的なものであると説明できる
- ・新たな借り入れの予定がない
住宅ローンのリスケジュールを相談する際のポイント
住宅ローンのリスケジュールは法的に定められたものではなく、銀行へお願いするという取引です。
そのため、銀行がリスケジュールを認めてくれるよう誠実な態度で根拠を示し、納得してもらう必要があります。
- 早い段階で相談する
(返済が遅れた後ではリスケジュールの交渉が難しくなります) - 1年以内に生活を立て直せる根拠と計画を示す
- 生活状況を隠さず説明し、誠実に対応する
(住宅ローンのリスケジュールの交渉では、生活状況について銀行員から踏み込んだ要求がなされることもあります。誠実に対応することが大切です。)
住宅ローンリスケジュールの注意点
住宅ローンのリスケジュールをすることで、確かに一時的には住宅ローンの返済負担が減りますが、あくまで一時しのぎにすぎません。
そのため、長期にわたって経済的な状況を立て直せる見込みがないのであれば、リスケジュール以外の対策を考えるべきと言えます。
また、住宅ローンのリスケジュールをすることで返済額を一時的に減らした分と諸々の手数料により、返済額の総額は増えることも覚悟しなければいけません。
その他、住宅ローンをリスケジュールする際の注意点・デメリットを下記にまとめます。
住宅ローンをリスケジュールするときの注意点
担保になっている不動産の価値にもよりますが、住宅ローンをリスケジュールする際には、担保の追加や保証人の追加が求められます。
交渉のいかんについてはケースバイケースですが、基本的には断ることは難しいです。
また、数百万、数千万、という大きな額の住宅ローンに対して、数年間の期間延長では期待したほどの負担減少にはならないかもしれません。
ウェブ上に便利な計算サイトがいくつかあるので、ご興味のある方はご自身でローンシミュレーションをしながら検討されるのもいいかと思います。
- 数年間の期間延長では返済額の減少が十分ではない可能性がある(※1)
- 再度ローン審査が必要になり、審査に通らなければ延長できない
- 追加で担保や保証人を求められるケースがある
(※1)検討の際には、住宅保証機構の住宅ローンシミュレーションなどの計算サイトを利用しての計算も便利です。
住宅ローンをリスケジュールするデメリット
住宅ローンをリスケジュールすると金利が上がる・返済期間が延びるという点から、支払い総額が増えることを覚悟してください。
- 優遇金利がなくなる可能性や、金利が引き上げられる可能性がある(※2)
- 返済期間が延びるので返済総額が増える(※3)
- 金融機関からの信用度が下がり新規借入、借換えが難しくなる(※4)
(※2)住宅ローンのリスケジュールをする際、金融機関は回収不能時の保険として「貸倒引当金」を積み増しします。
(※3)元金0円で1年間金利だけを支払った場合、その分住宅ローンの支払い総額が増えることになります。
(※4)金融機関は債務者を6つの区分(1.正常先 2.要注意先 3.要管理先 4.破綻懸念先 5.実質破綻先 6.破綻先)に評価しており、住宅ローンのリスケジュールをすることで正常先に区分されていた評価は要注意先以下となるため、新規の借入や借り換えが難しくなります。
住宅ローンのリスケジュールでは解決しないケース(例)
住宅ローンのリスケジュールが一時的な救済措置であることをご紹介してきました。
逆に言えば、住宅ローンのリスケジュールは一時的なものであるため、住宅ローンに対して根本的な問題がある場合には解決できません。
住宅ローンのリスケジュールでは解決しないケースの例をご紹介します。
住宅ローンのリスケジュールでは解決しないケースの例:
住宅ローン以外の借入がネックになっている場合
住宅ローン以外に借金があり、その支払いがネックで経済状況が悪くなっている場合には、住宅ローンの借換という選択肢は得策ではないかもしれません。
状況により対処方法は異なりますが、例えば、個人再生をすることも一つの選択肢になります。
個人再生とは裁判所を通じて債務を圧縮する方法です。
個人再生ができるかどうかは様々に要件が設定されているので、興味がある場合には弁護士または司法書士の先生に相談するといいでしょう。
住宅ローンのリスケジュールでは解決しないケースの例:
長期的に住宅ローンの返済が難しい場合
長期的に返済が難しい場合には、住宅ローンのリスケジュールをしても解決にはなりません(おそらく、銀行との相談でもリスケジュールが認められない可能性も高いでしょう)。
住宅ローン返済期間の中で、予想もしていなかった事態になることは珍しくありません。 経営していた会社が倒産した
年金生活が予想よりも厳しく返済まで手が回らない
離婚して自分の収入だけ担った生活では住宅ローンを支払えない など、様々なケースがあります。
長期的に住宅ローンの返済が難しい場合には、住宅の売却を検討すべきです。
ここで問題となるのが、住宅を売却した後に残債が残るケースです。
売却査定価格が残りの住宅ローンよりを上回る場合には、売却することで住宅ローンに関する経済的な問題は解決します。
ただ、売却査定価格が残りの住宅ローンを下回り、たとえ売却しても住宅ローンの残債が残る場合には、専門家との相談が必要になるでしょう。
売却査定価格が残りの住宅ローンを下回る場合は、任意売却という方法も選択肢のひとつになります。
任意売却について詳しくは下記ページをご参照ください。
任意売却とは
住宅ローンのリスケジュール以外にも検討した方がいいケース(補足):
高い金利で住宅ローンを組んだ場合
住宅ローンの返済に困っているわけではなくとも、高い金利で住宅ローンを組んだ場合には、住宅ローンの借換をすることで返済額を減らせる場合があります。
ただし、借換には保証料など諸費用が発生するため、返済額だけで比較するのではなくトータルで支払額が下がるのかどうかをきちんと計算してもらってから検討しなくてはいけません。
住宅ローンのリスケジュールと任意売却について
弊社は任意売却の経験値知識を備えた専門家です。
弊社にご相談にみえる方は、任意売却を前提にいらっしゃるケースが少なくありません。
しかし、任意売却を決める前に検討できる選択肢はいくつかあります。
住宅ローンのリスケジュールはそのひとつです。
例えば、
「本当はまだ今の家に住みたいけれど、病気になって収入が減ってしまったため任意売却を」
と考えていらっしゃる場合には、健康が回復されるまでのリスケジュールで乗り切れる可能性があります。
リスケジュールの他、リースバックという形で、所有者ではなくなるものの住み続けることができるという選択肢をとることもひとつです。
任意売却は、住宅ローンが負担になっている場合に再出発するための効果的な方法です。
任意売却を扱う専門家として、任意売却することで前向きに再出発された方々をサポートさせていただいた経験からも、任意売却の有効性を信じています。
一方で、不動産を所有し続けたいという強い意志がおありの場合には、任意売却を決定する前に検討できる方策もあります。
何よりも大切なことは、ご相談者様が安心して、前向きに、これからの人生を築いていけることだと考えています。
名古屋住宅ローン相談室では、代表の髙瀨がこれまでの経験と協力している専門家からの知恵をフルに活用し、住宅ローンのリスケジュール、任意売却、その他、様々な方策でお手伝いさせていただきます。