任意売却ができる期間について

住宅ローンが払えなくなった対処法

(今月の住宅ローンが払えないかもしれない…)
(ボーナス払いができそうにない…)
この状況になった時点で、1人で抱え込まずに金融機関や不動産の専門家へ相談してください。

(今だけだから、なんとかなるはず)
(とりあえずはカードローンで乗り越えよう)
そう考えることで、
『対策が遅れ選択肢が狭まってしまう』
『余計に状況を悪化させてしまう』
というケースは少なくありません。
真面目な方ほど、1人でなんとかしようと相談を先延ばしにしてしまいますが、住宅ローンの問題はできるだけ早く相談することが状況を打開するための重要なポイントです。

このページでは、不動産の任意売却ができる期間についてご説明します。
ご相談者様お1人おひとりごとに状況やご意思が異なるため、必ずしも任意売却が最良の策とはいえません。
ただ、任意売却の流れや任意売却ができる期間の概要から、競売前のいつ・どのタイミングまでに、どのような選択肢があるのかを知っていただけたらと思います。

任意売却できる期間:
住宅ローン滞納から競売までの流れ

住宅ローンが払えない状態の放置は危険

任意売却ができる期間について、住宅ローンを滞納しはじめてからの流れとともにご説明します。
あくまで一般論ですが、基本的な流れとしては合っているのでご参照ください。

任意売却できる期間:
住宅ローン滞納1〜5ヶ月ごろの状況

この期間も任意売却の相談を承ります。
早すぎて困るということはありませんので、いつでもご相談ください。

住宅ローンを滞納すると、はじめの期間は金融機関からの電話や住宅ローンの支払いのお願いといった通知が届きます。
滞納2ヶ月以上になると来店依頼状や督促状が届くようになります。
督促状は返済を求める要求の強い請求書であり、金融機関が競売に向けた手続きを取るための前提になる書類でもあります。
それでも滞納を続けると、催告書が届きます。
催告書は競売手続きに向けた最後通告だと考えてください。
こうした書類は厳しい表現が使われるため精神的に追い詰められてしまい、余計、誰にも相談できなくなり、『1人でなんとかしようと対策ができるまで放置する』『カードローンを組んで支払ったりしてしまう』という方がいらっしゃいますが、この行為は事態を一層悪化させてしまいます。

住宅ローンが払えなくなった時点で、まずは金融機関に連絡をして状況の説明をしてください。

金融機関へ相談する前に、下記事項をまとめておくとスムーズに話ができるかと思います。
・滞納の理由
(リストラ、倒産、病気、ボーナスカットなど)
・状況の説明
(現在の収入はいくらで、いくらなら支払えるのか、今の状態がどのくらいの期間続きそうか、など)
・今後について
(今後の仕事について、今後支払える額についてなど)

住宅ローン返済の困難な期間が一時的なものなのであれば、住宅ローンのリスケジュールという選択肢もあります。
専門家の意見を聞きながら、落ち着いて今後の方策について考えてください。

任意売却できる期間:
住宅ローン滞納半年ごろの状況

この期間も、任意売却のご相談を承ります。
実際に任意売却を債権者と交渉するのは代位弁済後からとなりますが、早めにご相談に来ていただけた方がしっかり準備ができます。

後述しますが、任意売却は多くのケースで競売開札日前まで可能ではあるものの、債権者によっては競売手続きに入った段階で任意売却への変更に同意してもらえないこともあるため、この期間でも時間はありません。
任意売却を視野に入れている場合には、債権者が競売の手続きに入る前に任意売却へ踏み切るべきだと考えてください。

住宅ローンでは一般的に、(連続の滞納ではなくても)合計6回返済を滞納すると期限の利益を喪失してしまいます。
はじめて住宅ローンの滞納をしてそのまま6ヶ月間放置すると、滞納の半年ごろに「期限の利益喪失に関する通知」が届き、一括返済が求められます。
この段階になると、一括返済をするか、担保となっている不動産を売却するしか方法がありません。
売却しても残債が残る不動産で、住宅ローンを一括返済できない場合には、選択肢は競売か任意売却となります。

任意売却できる期間:
住宅ローン滞納7ヶ月ごろの状況

任意売却が可能な期間です。
代位弁済通知が届いた後から任意売却に向けた交渉がはじまります。

滞納して7ヶ月ほどの期間が経つと、代位弁済通知が届きます。
代位弁済とは保証会社が債務者に代わり住宅ローンの全額および利息の合計を一括で金融機関に返済することです。
この後、交渉する相手は金融機関から保証会社に代わり、債務者が一括返済できない場合には競売手続きがはじめられます。

任意売却できる期間:住宅ローン滞納8ヶ月ごろの状況

任意売却についてご相談を承りますが、任意売却をするために残された時間が少なくなってきています。

この期間まで滞納すると、債権者は裁判所に対して競売の申し立てをします。
競売の申し立てがされた場合担保となっている不動産の差し押さえが行われ、差し押さえたことを知らせる書類が送られてきます。

任意売却できる期間:
住宅ローン滞納9〜11ヶ月ごろの状況

任意売却についてご相談を承りますが、かなり時間がありません。
任意売却を選択するならばすぐに手続きを開始しなくてはいけない時期です。

滞納期間が9ヶ月ほどの頃、担保不動産競売開始決定通知と呼ばれる競売開始を決定する通知が届きます。
そのままにしておくとそこから6ヶ月程度の期間で競売により売却されます。
競売は任意売却と違い、引越し費用の準備や退去日の相談もできず、強制的に進められていきます。
競売開始決定通知が届いてから1〜2ヶ月経つ頃に執行官により、競売に出すために不動産の写真撮影などの調査が行われます。

任意売却できる期間:
住宅ローン滞納13〜16ヶ月の状況

任意売却するための時間はほとんどありません。
任意売却を考えている場合には、とにかくご状況を教えてください。
任意売却は一般的には開札日前まで可能な場合が多いですが、それまでに物件購入者を見つけて手続きを完了させ、全ての債権者から任意売却への同意が必要です。

競売の期間入札通知書が届きます。
一般的には開札日前までが任意売却へ変更する最終リミットといわれていますが、債権者によって状況は変わります。
任意売却するためには、最終リミットまで残された期間の中で物件購入者を見つけ、すべての手続きを完了させ、債権者からの同意を得なくてはなりません。

任意売却ができる期間の
住宅ローン滞納時からのまとめ

任意売却ができるまでの期間について、住宅ローン滞納からの流れと併せてご説明しました。
状況により通知書等の届く期間にズレが生じる場合もありますが、ほぼ上記の流れの通りです。
住宅ローンを滞納して放置すると、競売に向かって着実に手続きが進んでいきます。

住宅ローンのリスケジュールで返済を可能にしたり、リースバックで任意売却した後も同じ家に住み続けるなど、住宅ローンの支払いが困難になってもご相談者様のご状況とご要望を擦り合わせる手段はあります。
なるべくたくさんの手段から選択できる状態をつくるためには、なにより、早めの段階で相談に動き出すことが大切です。
そうはいっても、住宅ローンの返済はデリケートな問題ですから、外部に相談するには心の整理が必要かとも思います。
しかし、1人で抱え込んで苦しさを増やす前に、思い立ったとき、まずは最初の一歩を踏み出すことで状況を変えられることも知っていてください。

任意売却に向けて動き出すタイミング

住宅ローンが払えない場合の選択肢

任意売却ができる期間は代位弁済から一般的には競売の開札前までです。
しかし、任意売却ができる期間と、任意売却の申請ができる期間は異なります。
任意売却の申請ができる期間に定めはありません。
任意売却をするためには競売前に任意売却の手続きを全て完了していなくてはいけないことは何度かご紹介しましたが、全て完了とは、決済・引き渡し・登記まで含む全てです。
もちろんその前に売り手も見つけなくてはいけません。
任意売却の申請ができる期間の前からでも、任意売却をすると決めたら出来るだけ早く動き出し、準備していくことが得策です。
繰り返しになりますが、住宅ローンの滞納前から任意売却の相談は可能であることも覚えておいてください(ただし、この期間では任意売却の手続きはできません)。

任意売却するためには、債権者との交渉期間が必要です

任意売却をするためには、債権者と交渉しなくてはいけません。
交渉期間は約1ヶ月ほど必要です。
滞納から期間が過ぎ、競売の開札日までの期日が迫った状態での交渉は時間切れとなってしまう危険性もあるため、任意売却を視野に入れている場合にはできるだけ早くご相談ください。

補足:任意売却と競売の違い

住宅ローンが払えない場合の選択肢

このページでは、任意売却ができる期間について、住宅ローンを滞納してから競売までの流れに沿ってご説明しました。
ここで、そもそも競売と任意売却では何が違うのかがはっきりしないという方も多いかと思いますので、ざっくりとご紹介させていただきます。

任意売却とは?競売とは?

任意売却は売却しても残債が残る不動産を債権者の許可を得て売却する手続きです。
任意売却は債権者の許可を得たら一般の不動産市場で不動産を売ることができます。
一方競売は、債権者の申立により強制的に報道さんが売却される手続きで、裁判所が関与する入札という手続きで売却されます。

任意売却と競売の比較

売却金額について

一般の不動産市場で売却できる任意売却に比べ、競売は7〜8割程度の売却額になってしまうケースが多いのが事実です。
ただ、任意売却をしたからといって必ずしも高値で売れるわけではなく、希望通りの額で売却できるかどうかは不動産の価値や任意売却できる残された期間などにより異なります。

引っ越し費用について

任意売却では交渉ができるため、売却代金から20万円ほどが引越し費用として認められるケースがあります。
競売では引越し費用を期待することはほとんどできません。
※これまでの慣習と近年の慣習が変化してきていることもあるため、詳しくはご連絡ください。
また変化してきているからこそ、任意売却で案件ごとに『交渉』することの重要性が増してきているとも言えます。

プライバシーについて

任意売却では不動産を市場で売却する形となります。
一方、競売の場合には裁判所が関与し執行官による現地調査が行われ、また入札を検討する不動産業者による付近への聞き取り調査が行われることもあるため、プライバシーを侵害される恐れがあります。

残債について

任意売却では残債の支払い方法についても交渉ができますが、競売では高い割合で一括払いを求められます。

任意売却について詳しくはこちらのページもご確認ください。
任意売却とは

以上、任意売却ができる期間についてまとめました。
任意売却ができる期間は、○○ヶ月まで、と決まっているわけではなく、競売との関係で期間が決まります。
任意売却の交渉期間は代位弁済から開札前までですが、任意売却を視野に入れるのであれば、交渉期間に関わらずできるだけ早い段階から任意売却を得意とする不動産会社に相談することが得策です。
経験と知識のある専門家に相談することで、結果的には任意売却という方法を取らずに住宅ローンの問題を解決できるケースも少なくありません。
滞納している期間が長くなるほど選択肢は少なくなってしまうので早めに動き出してください。