任意売却のメリット・デメリット

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任意売却は一昔前に比べて一般的な言葉となりました。
インターネット上にも任意売却に関する様々な情報が溢れており、なかには、メリットのみを誇張した表現や誤情報も散見されるのが実情です。
このページは、任意売却の成功実績を多数持つ不動産会社が現場の経験に基づいて任意売却のメリットとデメリットをまとめます。

任意売却は住宅ローン問題を解決する強力な手段の1つです。
ただし任意売却をするためにはいくつかの条件に当てはまる必要があり、また、任意売却したくても必ず成功できるわけではありません。
大切なのは、経験のある業者と手を組み、誠実な態度で関係者との交渉を進めることです。

任意売却をご検討中の方は、任意売却のメリットとデメリットを理解し、信頼できる業者を見つけて行動に移してください。

任意売却のメリット

任意売却のメリット1(持ち出し費用がいらない)

任意売却のメリットをご紹介します。
任意売却のメリットは多くの場合、競売と比較して評価されます。
一般市場で売り出せる任意売却は競売よりも高い値段での売却が実現すると期待できます。
さらに、住宅ローン残高と不動産の売却価格を差し引いた残債について月々の支払額を交渉することができたり、引っ越し時期について交渉する余地があるなどのメリットがあります。
その他、不動産査定時に近隣への配慮を持ってもらえるというのも大きなメリットの1つです。
一般的な不動産売買と同じ手続きを取るため任意売却であるということが知られにくいのは、特に、お子様が小さくて同じ学区で引っ越しをしようと考えていらっしゃる方にとってメリットになっています。
その他、任意売却は任意売却に至った背景を考慮して、売却時に持ち出しの費用負担を要求されないというメリットもあります。

以下、これらのメリットをもう少し詳しくご紹介します。

任意売却のメリット1:
売却時に持ち出しの費用負担がない

任意売却のメリット1(持ち出し費用がいらない)

通常の不動産売買では契約を締結するまでに諸費用が必要となりますが、任意売却の場合は不動産の売却時に必要となる諸費用を売買代金から差し引くという形で売買が成立するため持ち出しの費用が必要ありません。
任意売却に至る背景から、諸費用を支払うことが難しいことが明らかなためです。
任意売却は、このように、状況を考慮した処置が随所に見られるというメリットがあります。

任意売却のメリット2:
競売よりもメリットが大きい

任意売却のメリット2(競売よりもメリットが大きい)

任意売却と競売はよく比較されます。
ともに、住宅ローンの支払いが難しく、かつ、住宅ローンの残額が不動産査定額よりも多いため売却も難しい、という状況下での選択肢だからです。
任意売却と競売のどちらを選択するべきか迷われたら、競売と比較した際の任意売却のメリットを思い出してください。
任意売却には競売よりも多くのメリットがあることは住宅金融支援機構のホームページでも下記の通り紹介されています。

融資住宅等の任意売却

住宅金融支援機構におきましては、返済の継続が困難となり、お客さまのご事情からやむなく返済継続を断念せざるを得ない場合には、融資住宅等の任意売却をすることで残債務を圧縮していただくこともご検討いただいています。

任意売却をお勧めする理由

1.通常の不動産取引として売買されるため、一般的に競売より高値で売却できることが期待され、お客さまの負債の縮減につながります。
2. 任意売却パンフレットに定める手続にご協力いただける場合、お客さまの状況により売却代金から不動産仲介手数料、抹消登記費用等を控除できる場合があり、また、お客さまの残債務の状況等により延滞損害金減額のご相談に応じられる場合があります。
3. 裁判所による手続である競売と比べると、ご自宅の引渡時期についての調整がしやすく、ご自宅退去後の生活設計が立てやすくなります。

引用:住宅金融支援機構ホームページ「融資住宅等の任意売却

住宅金融支援機構のホームページに記載がある通り、任意売却は競売よりも高値で売却が実現すると期待できます。
競売よりも高値で売却できるということは、売却価格で住宅ローンを支払った後の残債も少なくできるため、大きなメリットです。
また同じく住宅金融支援機構のホームページにある通り、競売に比べてご自宅の引き渡し時期を調整しやすいため、退去後の生活を整えることも計画的に進められます。

その他、競売では残債の一括返済もしくは資産差し押さえなどの厳しい返済方法が求められるのに対し、任意売却では残債の分割返済が交渉できるという点もメリットです。
月々5,000円ほどからの分納も認められるケースがあり、生活の再建を後押ししてくれます。
生活の再建という点では、任意売却は現住所への「競売による差押」登記がない状態で賃貸契約をする時間的余裕があるため、賃貸住宅の審査に通りやすいというメリットもあります。

捕捉:自己破産を視野に入れている際にも
任意売却にはメリットがあります

「自己破産をするなら任意売却も競売も同じですか?」とご相談をいただくことがあります。
この場合、任意売却をした後に自己破産をした方がいいとお答えしております。
自己破産は資産があるかないかによってその方法が変わり、自宅という資産がある状態では、現金や預貯金がない状態でも予納金が発生するからです。
資産がない場合には自己破産に費用はかかりません。

任意売却のメリット3:
状況が整えばそのまま住むこともできる

任意売却の場合、金融機関の了承が得られ、条件に合う買主が見つかった場合には、買主と賃貸借契約を結ぶリースバックという形でそのまま住み続けることも可能になります。
親族に買い取ってもらい親族間売買を成立させるケースや、投資家に売却するケースがあり、 それぞれデリケートな取引となるため、任意売却の経験を積んだ不動産会社に依頼して契約を進めます。

注意したいのは、任意売却と同様、リースバックもメリットが誇張されて情報発信される傾向があることです。
親族間売買は買主のご親族様が住宅ローンを借りることが困難であったり、また、投資家に売却した場合にはただの任意売却よりも低価格になり残債が多く残る可能性がある、家賃も周辺相場より高くなる場合がある、といったデメリットがあることも予めご理解ください。
もちろんメリットもデメリットも、個別の案件ごとに内容は変わります。
ご自身の状況でのメリット・デメリットをお知りになりたい場合にはお気軽にお問い合わせください。

任意売却のデメリット

任意売却のデメリット(悪徳業者に用心)

任意売却のデメリットをまとめます。

任意売却のデメリットには、まず、いわゆる『ブラックリストに載る』という状態になる、連帯保証人の方に迷惑がかかる、という点が挙げられますが、共に、任意売却が直接の原因ではありません。
原因は住宅ローンを滞納したことであり、住宅ローンの滞納が進んだ時点で、信用情報機関には事故として記録が残り、また、金融機関は支払い能力のある連帯保証人の方へ請求に動きます。

また、任意売却のデメリットとしては、悪徳業者が多いことも挙げられます。
任意売却を視野に入れる状態で精神的に弱っているご相談者様に対し、任意売却の複雑な手続きを盾として不正に利益を得る業者が各地で営業しているのが実情です。
任意売却の手続きを依頼される際には、実績やネットワークがあるかどうかはもちろんのこと、メリットばかりを誇張していないか、先々の生活設計まで一緒に考えてくれているかといったことも含めて判断してください。

任意売却のデメリット1:
いわゆる『ブラックリストに載る』という状態になる

任意売却は、一定期間住宅ローンの支払いを滞納し、期限の利益を喪失した後に可能な手続きです。
そのため、個人の取引状況が明確に記録されている信用情報機関に支払い延滞の情報が事故記号で記録されます。
よく聞く『ブラックリストに載る』という表現は、信用情報機関のなかで「事故あり」という判断になってしまうことを指しています。

住宅ローンを滞納して代位弁済に至ったという信用情報機関の記録が保存されるのは7年前後です。
(詳細な年数は各金融機関の契約書に寄ります)

任意売却のデメリット2:
任意売却を売りにした悪徳業者に利用される危険性がある

悪徳業者に利用される危険性、と書くと恐ろしい表現になってしまいますが、任意売却という複雑な手続きを悪用して不正に利益を得ている業者は後を断ちません。

・任意売却の実績があるか
・弁護士や司法書士など手続き上協力を仰ぐことになる士業の先生方とのネットワークがあるか
・事務所をきちんと構えているか
といった基礎的な確認は怠らないでください。
また、任意売却も一般の不動産売却と同様に、営業マンが該当の不動産を営業します。
営業の手法はいくつかありますが、営業マンとして託すことができるかどうかも、判断基準のひとつに入れてもいいかもしれません。

任意売却のメリット・デメリット:まとめ

任意売却のメリットとデメリットをまとめました。
人売却は競売と比べてメリットが多く、住宅ローン問題を解決する強力な手段であることにあわせ、デメリットや注意事項もあることをご承知いただけたらと思います。

追記:
デメリットに記載した通り、任意売却に至った場合には信用情報機関に事故記号で記録が残るため一定期間新たな融資やクレジットカードの作成などができなくなります。
また、連帯保証人の方にも少なからず迷惑をかけることになります。
こうした状況下のご相談者様に対して、これまでの経験では、次のようにお声がけさせていただいてきました。

「わざとそういう状態になったわけではないのだから、自分を責めすぎないでください」

なぜこうした言葉が出てしまうかというと、ご相談者様の多くが、本当に落ち込み、心をすり減らし、罪悪感に押しつぶされそうになっていらっしゃるからです。
“ブラックリストに載ったけど挽回する。”
“連帯保証人の方に迷惑をかけてしまったけれど、今後は迷惑がかからないようできるだけのことをする。”

任意売却の手続き期間中、そうした前向きな気持ちを持って新しい生活の計画を立てられるよう、お手伝いいたします。