コロナの影響で増えたご相談内容
〜名古屋住宅ローン相談室へのご相談事例〜

住宅ローン返済の相談・見出し

新型コロナウイルス感染症の経済への影響が広がっており、 住宅ローンという長期間にわたる計画ではさまざまに調整が必要とされています。
このページでは、名古屋住宅ローン相談室でお問い合わせを受けた内容についてピックアップして回答をご説明しています。

名古屋住宅ローン相談室代表

ご事情や解決策はご相談者様ごとに異なりますが、1つの目安として、お役立ていただけたらと思います。

コロナの影響で名古屋住宅ローン相談室に増えたご相談内容:例1

任意売却タイミングの相談

Q:
相談です。住宅ローンを払い続けられるかわかりません。
どのタイミングで任意売却を検討するべきですか?

A:
任意売却を検討するタイミングはご相談者様ごとに異なります。まずは住宅ローンの問題がどのように進んでいくのか概要を把握して、任意売却の検討をはじめるのはいつからがいいのかご自身でイメージしてみてください。

住宅ローンが払えなくなってからの流れ

うっかり

まずはうっかり、多くのケースで収入が減ったため預金残高が減り住宅ローンの引き落としがされないというケースが少なくありません。
つまり、うっかりです。
それが何度も続くうちに、遅延が滞納になります。

滞納(遅延損害金の発生)

滞納になると、遅延損害金が請求されます。
遅延損害金については他のページで詳しく解説もしていますが、ざっくりいうと、滞納している住宅ローンに年14.6%ほどの高い利率のペナルティが課せられることです。
ここで注意しておきたいのは、分割返済ができる場合の遅延損害金と、期限の利益を喪失して住宅ローンの一括返済を求められてからの遅延損害金では重大さが全く違うということについて。
例えば毎残り3000万円の住宅ローンで毎月8万円ずつ返済していた場合、月々の8万円に14.6%が課せられるのと、残債総額の3000万円に14.6%の年率が課せられるのとでは負担の程度が全く違いますよね。

滞納(優遇金利の適用外になる)

契約内容によって滞納期間期間は異なりますが、滞納すると優遇金利の適用外となります。
例えば2020年9月現在の三井住友銀行を見ると、店頭金利が年2.475%、優遇金利が適用されると年0.475%~年0.500%となっています。参考:三井住友銀行ホームページ
返済が厳しいという状況の中で、返済金額自体も増えてしまうことになります。

ブラックリスト

住宅ローンの返済が数ヶ月続くと、いわゆるブラックリストに載る、という状態になります。
正確にはブラックリストというものはなく、信用情報機関に事故情報として登録されることになります。
この状態になると住宅ローンの借り換えはできなくなり、その他にも選択肢が狭まります。
(どうしよう・・・)と立ち止まっている間に数ヶ月が過ぎてしまうことは珍しくありません。しかし、何も策を講じないまま時間だけが過ぎていくことは、問題をどんどん大きくするばかりです。

期限の利益の損失

住宅ローンの滞納が4〜6ヶ月続くと、期限の利益が喪失されます。
期限の利益の喪失とは、ざっくりいうと、「もう月々の返済は結構ですので、全額一括で返済してください」という状態になる、つまり、分割返済する権利がなくなり借り入れた住宅ローンを一括で返済しなくてはいけなくなるということです。
この段階までくると、一括返済が可能であるという稀なケースを除き、ほとんどの場合、競売か任意売却という手段に絞られます。

住宅ローンの返済が困難になってからの流れをざっくりとお伝えしました。
この流れを頭に入れて、どこで任意売却についての検討をはじめようかと、ご自身の状況の中で当てはめてください。
任意売却を検討するタイミングとして早すぎる時期はありません。
(まだ住宅ローンを滞納していないけれど今後払い続けられるか不安・・・)という状態でも、弊社にご相談にいらっしゃる方は珍しくはありません。

住宅ローンのご相談は、早ければ早いほど取れる選択肢が広がります。家計の見直し、事業再生、住宅ローンの借り換え、住宅ローンのリスケジュールなどでマイホームを売却しなくても問題が解決できるケースも決して少なくはありません。
お一人で抱え込まずにまずは専門家にご相談ください。

コロナの影響で名古屋住宅ローン相談室に増えたご相談内容:例2

変動金利の相談

Q:
相談です。住宅ローンを払い続けられるかわかりません。
変動金利で住宅ローンを組んでいます、コロナの影響で金利は上がるものですか?

A:
住宅ローン問題を扱う名古屋住宅ローン相談室では、住宅ローンの金利動向に関するご相談をいただくことも珍しくありません。
住宅ローン金利の動向は刻々と変化するため、その都度考えをアドバイスさせていただいています。

住宅ローン金利を考える際、大きく2つに分けることができます。短期金利に連動する変動金利3年固定、5年固定と、長期金利に連動する10年固定、フラット35です。

上記のご相談では変動金利について質問いただいているので、短期金利についてのお話になります。
短期金利は直近の景気に左右されることが多い金利です。 短期金利の決定は多くの場合、短期プライムレートという銀行が優良企業に貸し出すレートを基準としています。一般的には、短期プライムレートに1%上乗せした金利が住宅ローンの店頭金利と設定されると考えていただいて大きな誤りはありません。

店ご相談者様が実際に借り入れする適用金利は頭金利から各金融機関が設定している優遇金利を割り引いた値で、この優遇金利については各金融機関で競争が激化しているため、金融機関によっては0.3%台の住宅ローン貸し出しも出てきている状況ではあります。 ただ、基本的には、短期プライムレートが上がれば住宅ローンの変動金利も上がり、下がれば住宅ローンの変動金利も下がるという構造です。

そこでこの短期プライムレートはどう決まるかという話です。短期プライムレートは日銀がコントロールしている政策金利に連動します。
政策金利は、基本的には景気が悪い場合下げられ(緩和策)、景気が過熱すると上がります(引き締め策)。

少し話がややこしくなりましたが、結論としては、景気が加熱して政策金利が上がると短期プライムレートが上がり、各金融機関の住宅ローン店頭金利が上がる。逆に景気が停滞すると景気刺激策として政策金利が下がり連動して各金融機関の住宅ローン店頭金利も下がります。

ここまでの話をコロナ下での社会情勢に当てはめると、コロナにより経済が停滞している、また、コロナによりアメリカで実質的なゼロ金利政策が進み円高が進んでいる、という状況では、日銀が政策金利を上げることは考えにくいです。
そのため、住宅ローンを変動金利で組まれているご相談者様が、コロナの影響で住宅ローンの金利が上がることを心配される必要は、今のところないのではないかと考えています。

少し話に出ましたが、各金融機関、優遇金利の競争を加熱させています。住宅ローンを借り換えることで住宅ローンの総返済額を大幅に減らせるケースもありますので、関心のある方はお問い合わせください。

コロナの影響で名古屋住宅ローン相談室に増えたご相談内容:例3

フラット35の相談

Q:
相談です。 住宅ローンを払い続けられるかわかりません。
フラット35で住宅ローンを組んでいます、支援策が出ているというのは本当ですか?

A:
フラット35の運営母体である住宅金融支援機構は支援策を整備しています。ご自身で役立てられるケースがないか、ご確認ください。

フラット35の運営母体である住宅金融支援機構は、コロナの影響でフラット35の返済相談が急増していると発表しています。
コールセンターへの相談件数は、2月15件3月214件4月1,158件5月878件と報告されています。

住宅金融支援機構ではなんとか支援ができないかと早々に整備が進められているので詳しくは機構の公式サイトをご確認ください。
ここではざっくりと、どのような支援策があるのかをご紹介します。
用意されている支援策は3つ、返済特例、中ゆとり、ボーナス返済の取りやめです。
返済特例とは、住宅ローンの返済期間について、関西時の年齢上限80歳という前提のもと、最長15年延長できる特例です。さらに条件によっては元金据置の期間を最長3年間設定することもできます。
中ゆとりとは、返済期間の間で数年間元金の返済額を減らして月々の住宅ローン返済額を減らすという策、そして、ボーナス返済の取りやめとは、ボーナス返済をなしにするかわりに月々の返済額を増やしていくという策です。
短期的な住宅ローン返済困難を乗り越えればまた家計を立て直すことができる、という場合には、これらの支援策を検討することも有効かと思います。

一点注意点として、上記支援策はフラット35の買取型のみの適用です。保証型の場合には各金融会館との相談となるため適用外となります。

住宅ローンの支払いが困難となる期間が限定的である場合には、とても有効な支援策です。ただ、その場しのぎになってしまうのであれば、問題を先延ばしにすることは得策ではありません。
「今後の方向性が見えてこない」という場合には専門家へご相談ください。
弊社でも家計状況や事業運営を含めたご相談を承っております。

コロナの影響で名古屋住宅ローン相談室に増えたご相談内容:例4

共有不動産の相談

Q:
相談です。住宅ローンを払い続けることが困難です。
共有不動産の任意売却は可能ですか?

A:
新型コロナウイルスに端を発する想定外の景気低迷で、突如、共有不動産の住宅ローン返済が困難になったというご相談者様が増えています。

共有不動産は自分の持分だけを売却することも可能ですが、売却価格が非常に低くなるなどデメリットが目立ちます。
できれば不動産全体で売却したいところですが、他の所有者から合意が得られない、認知症が進行している、行方不明になっている、など、課題を抱えるケースも少なくありません。

案件ごとに対応策が異なるため概論的な対応策はありませんが、返済が困難な不動産をいつまでも所有していることは競売や自己破産につながる行為になってしまいかねません。 専門家が間に入ることで解決する事案は多いため、複雑な事情がある場合でも、躊躇しないで早めに専門家へ相談してください。

共有不動産の任意売却は、専門家を交えることで解決策が見つかることがあります。本人同士で話し合っても合意できないケースでも第3者を交えることで共通のゴールに合意できたり、また、共有不動産の相手が行方不明の場合には対応策も用意されているため、順を踏んで解決につなげることができます。

コロナの影響で名古屋住宅ローン相談室に増えたご相談内容:例5

入居中物件の相談

Q:
相談です。住宅ローンを払い続けることが困難です。
離婚した配偶者が暮らしている物件の任意売却はできますか?

A:
退去してもらえる確約がなければ、任意売却はできません。

このケースで1番多いのは、離婚され、元奥様とお子様がそのまま住まわれて、住宅ローンの返済は元旦那様が続けている、というケースです。
リストラ・減給・失業などコロナウイルスの影響から突然収入の減った元旦那様はどうしても住宅ローンの支払いを続けていくことが難しくなり一方で元奥様は退去することに納得ができていない、という状況でご相談をいただきます。

元奥様としては突然の連絡に驚き腹も立ち悲しまれ、簡単に納得のいかないご事情もあるかと思いますが、揉めていたら、時間切れとなって競売になってしまいます。
ご本人同士では感情的になり話ができない場合でも、第3者が冷静に現状をご説明することで事態を前進させられることは少なくありません。
まずは退去へのご理解がいただけるよう、専門家に相談して状況整理をされることが得策です。

住宅ローン問題は、生活空間に関する問題という特殊性から当事者同士では冷静な話し合いができないこともあります。私たち専門家は様々な場数を踏んでいます。
内輪で揉めてしまっている場合には、専門家を活用ください。

 

住宅ローン返済の相談・まとめ

以上、新型コロナウイルス関連において、名古屋住宅ローン相談室でご相談をいただくことの多い内容をまとめました。
新型コロナウイルスの影響はまだまだ先が読めません。現在住宅ローンの返済に不安を感じていらっしゃる場合には、長期間続く住宅ローンとうまく付き合っていくために、または、不動産を売却することで負担を減らして明るい気持ちで再スタートをするために、専門家を交えて未来のビジョンを再設計してください。